月曜の朝、「去年これ、いくらで出した?」と聞かれる
見積書って、出したら終わりになりがちですよね。製造や建設、卸の会社では、控えは紙かPDF(電子文書)です。紙は書類棚の書類入れにしまいます。PDFは共有フォルダ(皆で使う保存場所)にあります。去年、同じ部材をいくらで出したか。探すときは紙をめくります。
社長の頭に入っているうちはいいんです。担当が何人かに増えると、そうはいきません。同じ品名で、人によって単価が違います。そんなことが普通に起きます。「紙を読んで表にする」仕事は、ここ数年で変わりました。AI(人工知能)の得意分野になったんです。
昔からOCR(紙の文字を機械で読み取ること)はありました。ただ、活字専用でした。手書きや傾いた紙はお手上げでした。今はAI-OCR(AIで紙の文字を読む技術)があります。手書きもバラバラな書式も読めます。
月額のクラウドサービス(通信経由で使う仕組み)として売られています。代表はAI insideのDX Suiteです。NTT東日本のAIよみと~るもあります。これを台帳(見積をまとめた表)に使う話です。
紙を読む仕事が、この数年でAIの得意分野になった
昔のOCRは活字専用でした。少し傾いたり、かすれたりすると読めませんでした。手書きはほぼ対象外でした。帳票(見積書などの書類)の種類ごとに設定を作り直す必要がありました。
今のAI-OCRは違います。DX Suiteの公表値だと、読み取りは平均99.6%です。書式がバラバラな見積書や請求書も対象です。手書きの帳票も含みます。NTT東日本の実測トライアル(試験導入)でも数字が出ています。手書き文字だけで94.73〜96.13%です。
精度だけが違うわけではありません。読み取った内容を、検索できる表に移せます。月額のクラウドサービス1つで済みます。以前は専用の仕組みを作る必要がありました。今は月数万円の定額払いで動きます。
- 見積の控えは紙かPDFのまま
- 去年の単価は紙をめくって探す
- 担当ごとに単価がぶれる
- AI-OCRが紙を読んで表にする
- 品名・単価・担当で検索
- 月数万円のクラウドで動く
やると、こう変わる。検索窓に打って数秒
紙やPDFでたまった見積書を、AI-OCRで読み取ります。品名・単価・担当者で検索できる表にします。過去にいくらで出したか。社長の記憶ではなく、検索窓で答えられるようにします。
いくらかかるか。月3.3万〜10万円から
- 相手
紙またはPDFの見積書が、何年分もたまっている会社です。保管先は書類棚や共有フォルダです。見積の担当が何人かいて、同じ品名でも単価がぶれます。社員6〜50人くらいの製造、建設・設備、卸・商社の話です。よくある困りごとです。
- 売り方と価格
AI-OCRの道具自体は月3.3万〜10万円ほどです。NTT東日本のプラン1が月3.3万円です。DX SuiteのLiteが月4万円〜です。どちらも公式サイトの表示額です。
検索の台帳づくりや最初のスキャン代行は、外注するといくらでしょうか。公開されている値が見つからなかったので、ここでは書きません。自社なら、初期費用は道具の月額だけで始められます。
- 必要なもの
スキャナー(紙を読み取る機械)が要ります。複合機(印刷や読み取りをする機械)でも十分です。今あるもので足ります。AI-OCRのアカウント(利用者の登録情報)も要ります。品名・単価・担当の表はExcel(表を作り計算する道具)で十分です。最初に結果を目で見て直す担当1人も決めます。
AIに任せられないのは、5工程のうち3つ
- 1見積書をスキャン
- 2文字を読んで列にする
- 3読み違いを直す
- 4品名の名寄せを決める
- 5検索窓で探す
- AIに任せる線
AIに任せられるのは、紙の文字を読むことです。文字と列に変えるところまでです。
同じ部材でも、人によって品名の書き方が違います。それをどう1つにまとめるか。どの単価を正しいものとして残すか。ここは見積の中身を知っている人が決めてください。丸投げすると、検索しても同じ部材が別の名前で何件も出てきます。
- 詰まりそうな所
精度が99.6%でも、1件の見積書に品目が30行あるとします。どこかで1〜2行は直しが要る計算です。あくまで試算です。桁や単価を間違えると、金額全体が狂います。最初の1〜2か月は、全件を人が目で追ってください。でないと、検索結果そのものが信用されなくなります。
最初の30日
- 1〜7日直近1年分から50枚スキャン
- 8〜14日品名・単価・担当の3列の表にする
- 15〜30日実際に過去の見積を探す場面で使う
精度99.6%と月3.3万円。公表されている数字
| 項目 | 値 | 誰の発表か・条件 | 扱い |
|---|---|---|---|
| AI-OCRの読み取り精度 | 99.6% | DX Suite(AI inside株式会社)。自社サイトの公表値。書式がバラバラな帳票の実データ検証 | 公式公表 |
| AI-OCRの読み取り精度(実測) | 96.71% | NTT東日本。2018年8〜9月に3社・3,900枚で実施したトライアル | 公式公表 |
| 同・手書き文字のみ | 94.73〜96.13% | NTT東日本。同じトライアルの手書き文字の部分 | 公式公表 |
| DX Suite の月額(Lite) | 4万円〜 | AI inside株式会社。料金ページの表示額 | 公式公表 |
| AIよみと~る の月額(プラン1) | 3.3万円 | NTT東日本。料金ページの表示額 | 公式公表 |
出典 DX Suite(AI inside株式会社)公式サイトと、NTT東日本のAI-OCRサービス公式サイトを2026年8月30日に開いて確認した。読み取り精度と月額料金はいずれも各社が自社サイトで公表している数値。NTT東日本の96.71%は2018年8〜9月に3社・3,900枚で実施した実測トライアルの結果。
- DX Suite公式サイトのトップページdx-suite.com(確認 2026-08-30)
- DX Suiteの料金プランページdx-suite.com(確認 2026-08-30)
- NTT東日本のAI-OCRサービス「AIよみと~る」公式ページbusiness.ntt-east.co.jp(確認 2026-08-30)
- AIよみと~るの料金・プランページbusiness.ntt-east.co.jp(確認 2026-08-30)
これを商売にするなら
見積台帳を検索できる価値は、ひとつだけです。比べる時間がなくなることです。過去に同じ品名をいくらで出したか。紙をめくって探すと、1件で10分はかかります。検索窓に打てば数秒です。
「うちの見積は頭に入っている」と言う社長もいます。そんな社長ほど、同じ部材の単価が担当者ごとに違ったりします。請け負う側は、AI-OCRの月額料金に手間賃を乗せられます。設計と運用の手間賃です。分かりやすい商売です。
頼む側の初期投資は、道具の月額数万円で済みます。社長か事務の人がスキャン(紙を画像にすること)すれば回ります。品名の名寄せ(同じ物の呼び方をそろえること)は、設計が大事です。差がつくのは、この設計と道具の使い方だけです。
向いている会社
- 見積を出す担当が複数人いて、単価が担当者ごとにバラつく会社
- 紙またはPDFの見積書が5年分以上、キャビネットか共有フォルダに眠っている会社
- 同じ品名の見積を年に何度も出す業種(建設・設備、卸・商社)
向かない会社
- 見積の件数が年間数十件程度で、社長の記憶で足りている会社
- 見積のフォーマットが毎回違いすぎて、品名や単価の列がそもそも定まっていない会社
AI-OCRの精度は、もう使える水準です。DX Suiteが99.6%です。NTT東日本の実測でも96.71%です。公表値としては十分に高いです。問題は精度ではありません。読み取ったあとの名寄せと運用を、誰が守るかです。それだけです。ここさえ決めれば、小さな会社でも月数万円で始められます。
自分の会社に当てはめると、どうなるか。
業種と人数を選んで、ひとつだけ答えてください。向き不向きと、その規模の会社での最初の30日が返ってきます。一度選んだ業種と人数は、次の記事でも覚えています。
例:製造・6〜20人の会社で「はい」なら、向き度は高。理由が3行と、その規模での最初の30日が返ります。向かないときは、代わりに効く記事を1本すすめます。