月曜の朝、返事のない見積書が何十件も棚に眠っている
見積もりを出しても、返事がないままです。製造や建設、卸の会社だと、よくある話ですよね。断られた案件はExcel(表計算ソフト)の一覧に残ります。営業担当の頭の中だけに残ることもあります。どちらも、しばらくすると誰も見返しません。
これがもったいないとは、営業の世界で昔から言われていました。日経xTECHが紹介した米調査会社シリウスディシジョンズの調査が、その代表です。才流やailead.appの記事も出ています。掘り起こし(過去の案件への再提案)の手順をまとめたものです。
失注(受注を逃すこと)の理由を分ける枠組みもあります。start-link.jpが公開しています。ただ、どれも過去の記録の読み返しと仕分けが必要でした。手間が重く、後回しになりがちでした。その手間を生成AI(文章などを作る人工知能)に渡す話です。
失注理由の仕分けと下書きが、生成AIの仕事になった
これまでの掘り起こしは、だいたいどちらかでした。失注した案件の一覧に、一斉に同じ文面を送ります。あるいは、電話営業が古い記録を頼りに掛け直します。理由を見ずに送るので、反応は薄いです。電話は担当者の勘と体力に頼っていました。新しいやり方は違います。
見積書・商談の記録・メールのやり取りをAIに読ませます。失注理由を5分類に仕分けます。価格・競合・タイミング(時期)・機能・自社対応です。理由別に切り口を変え、1社ずつ自動で下書きさせます。仕分けと下書きはAIに渡します。送る判断と最終確認は、人に残します。
- 古い記録を担当者が読み返す
- 失注理由を見ずに一斉送信
- 全社に同じ文面をまとめて送る
- 見積書とメモをAIが読む
- 失注理由を5分類に仕分ける
- 理由別に1社ずつ下書きする
やると、こう変わる。失注理由5分類で1社ずつ違う文面
失注した見積もりをAIに読ませます。断られた理由ごとに分類してもらいます。再提案のメール(電子メール)も下書きさせます。1社ずつ切り口を変えるんです。棚で眠っていた見積もりを、もう一度お金に変えるやり方です。
いくらかかるか。1シート月額1万800〜1万2000円
- 相手
見積もりを出したのに、返事がないまま止まっています。そんな案件がExcelや紙、営業担当の記憶に何十件もある会社です。社員6〜50人程度で、営業担当は数人しかいません。新規の商談対応で手一杯です。そうした製造業・建設業・卸売業の社長に向いています。
- 売り方と価格
外部委託の相場には、公開情報がありません。ここでは相場を書きません。自社でやるなら、AIで文面を下書きします。仕組み化にはSFA/CRMを使います。顧客と商談の記録を貯めるソフトのことです。
たとえばHubSpot Sales Hub Professionalです。料金は1シート(利用者ごとの契約枠)あたりです。月額1万800〜1万2000円です。導入支援18万円が加わります(HubSpot Japan公式サイトで確認)。
- 必要なもの
過去の見積書・商談の記録・メールのやり取りが必要です。最低でも、失注理由が分かる記録を用意します。読み込ませる生成AIも必要です。ChatGPT(生成AI)などの一般的なもので足ります。SFA/CRMがあると仕分けが楽ですが、必須ではありません。最初は担当者1人と表計算ソフトで回せます。
AIに任せられないのは、6工程のうち3つ
- 1失注見積を集める
- 2見積とメモを読む
- 3失注理由を5分類
- 4理由別に文面を下書き
- 5価格と納期を確認
- 6送るかどうか決める
- AIに任せる線
AIは大量の見積書と商談の記録を読みます。任せるのは、失注理由の分類です。理由別に切り口を変え、1社ずつ下書きを量産させます。送るかどうかは、人が最終判断します。価格や納期など、約束に関わる部分も人が確認します。ここを外すと、AIが勝手に条件を書いた文面を送る事故になります。
- 詰まりそうな所
最初の壁は、取引の記録を生成AIに読ませる抵抗感です。社内の誰もが、断った相手への再連絡を気まずく感じます。その心理面の壁で、後回しになります。失注理由が営業担当の頭の中にしかない会社もあります。記録がないと、棚卸し(過去の案件の整理)の段階で止まります。
最初の30日
- 1〜7日直近1年分の失注見積もりを探し出す
- 8〜14日案件ごとに一覧のリストにする
- 15〜30日失注理由を一言でタグ付けする
8割が2年以内に競合へ。根拠になる4つの数字
| 項目 | 値 | 誰の発表か・条件 | 扱い |
|---|---|---|---|
| 放置した失注案件の競合流出 | 8割が2年以内(シリウスディシジョンズ社調査/日経xTECH2015年紹介) | 米調査会社シリウスディシジョンズ。日経xTECHが2015年3月18日公開の記事で紹介した調査 | 第三者の調査 |
| 再商談化率(試算) | 10〜20% | 大畑。再商談化率そのものを実測した公開調査は見つからず、試算とした | 大畑の試算 |
| 失注理由の分類軸 | 5カテゴリ(価格・競合・製品機能・タイミング・プロセス) | start-link.jp。同サイトが公開する失注理由5分類のフレームワーク | 第三者の調査 |
| SFAツールの月額 | 1シート1万800円〜1万2000円 | HubSpot Japan。料金ページの表示額。Sales Hub Professionalの1シートあたり | 公式公表 |
出典 日経xTECH(2015年3月18日公開)がシリウスディシジョンズ社調査を紹介した記事、才流とailead.appの失注掘り起こし手順の記事、start-link.jpの失注理由5分類フレームワーク、HubSpot Japanの料金ページを2026年8月30日に確認した。再商談化率そのものを実測した公開調査は見つからず、試算とした。
- シリウスディシジョンズ社調査の紹介(放置した失注見込み客の8割が2年以内に競合から購入)を確認xtech.nikkei.com(確認 2026-08-30)
- 失注商談掘り起こしの実務手順(ルール化→担当明確化→ヒアリング項目整理→ログ管理→アプローチ)を確認sairu.co.jp(確認 2026-08-30)
- 失注商談の掘り起こし手法(メール・電話・DM)を確認www.ailead.app(確認 2026-08-30)
- 失注理由の5分類フレームワーク(価格・競合・製品機能・タイミング・プロセス)を確認start-link.jp(確認 2026-08-30)
- HubSpot Sales Hubの料金プラン(Professional 月額1万800〜1万2000円/シート)を確認www.hubspot.jp(確認 2026-08-30)
これを商売にするなら
まずは買う側の得です。断ったあとも、同じ悩みが残りがちです。米調査会社シリウスディシジョンズの調査を、日経xTECHが紹介しています。営業が見込みなしと判断して放置した商談があります。その8割は、2年以内に競合から購入しています。2割は、競合にも流れず宙に浮いたままです。
売る側は、宙に浮いた客にもう一度働きかけます。新規開拓より、ずっと安く済むんです。名刺交換からやり直す必要がありません。見積書をもとに、具体的な会話の続きから入れます。新規は出会うところから始まります。掘り起こしは再開するところから始まります。
向いている会社
- 過去の見積もり・商談記録がExcelや紙で残っている会社
- 営業担当が数人しかおらず新規開拓で手一杯の会社
- 単価の大きい見積もりを出す業種(建設・設備、製造の受注生産)
向かない会社
- 失注案件の記録がほとんど残っていない会社
- そもそも見積もりを出す機会が年に数件しかない会社
- 一度断られた相手への再連絡を社内が強く嫌う文化の会社
再商談化率は、再び商談になった割合のことです。実測した公開調査が見つからず、ここは試算です。棚卸しと分類の費用は、ほぼ人件費だけです。外れても損失は小さいです。「うちの失注案件はだいたい頭に入っている」と言う社長もいます。そんな社長ほど、一覧にすると記憶違いや漏れが出ます。
自分の会社に当てはめると、どうなるか。
業種と人数を選んで、ひとつだけ答えてください。向き不向きと、その規模の会社での最初の30日が返ってきます。一度選んだ業種と人数は、次の記事でも覚えています。
例:製造・6〜20人の会社で「はい」なら、向き度は高。理由が3行と、その規模での最初の30日が返ります。向かないときは、代わりに効く記事を1本すすめます。