月曜の朝、FAXの束を事務員が基幹システムに打ち込んでいる
卸や製造の会社では、注文はいまでもFAXで届きますよね。朝いちばん、複合機(FAXや印刷などを行う機械)から束が出ます。事務員が基幹システムやExcelに打ち込みます。数量の桁を打ち間違えると、出荷が違います。入力後、もう1人が目で照合する会社も多いはずです。
ここ数年で、AI-OCRが打ち込みを担えるようになりました。昔のOCR(紙の文字を自動で読む技術)は活字専用でした。手書きの数量やFAXのかすれに弱かったんです。いまは手書きもFAXも読む前提です。月額のクラウド(ネット上で使う仕組み)で売られています。
AI insideのDX Suiteがあります。LINE WORKSのPaperOnもあります。Cogent LabsのSmartReadもあります。この3つは、料金をそれぞれ公式サイトに出しています。
前に書いた紙の見積書を台帳にする話とは、入口が違います。請求書の仕訳(取引を帳簿の項目に分けること)の話とも違います。こっちは受注、売上が立つ側の紙です。朝のFAX注文書の打ち込みをAIに渡す話です。
PaperOnもDX Suiteも、FAXをそのまま読む前提で売られている
昔のOCRは活字専用でした。FAXの粗い文字や手書きの数量はお手上げでした。帳票(注文書などの定型の書類)ごとに、読み取り位置の再設定も必要でした。いまはDX Suiteが読取精度99.6%を公式サイトに掲げています。SmartReadは自社評価データで99.2%です。
NTT東日本は2018年に3社で実測しました。トライアルでは、FAX帳票の手書きで94.73%でした。PaperOnは、受信した書類をそのままOCRにかける前提です。FAXや複合機、メールで受ける形で売られています。受信から読み取りまでが1本につながり、月額のクラウドで動きます。
- FAXの束を事務員が手で打つ
- 数量の桁をもう1人が目で照合
- 打つ人が休むと受注が止まる
- AI-OCRがFAXを読んで表にする
- 人は読み取り結果を確認するだけ
- 月3万〜4万円のクラウドで動く
やると、こう変わる。打つ仕事が、読み取り結果を確認する仕事に
FAXや紙で届く注文書を、AI-OCRが読みます。品名・数量・納期をデータにします。人は読み取り結果を確認し、基幹システムに流します。打つ仕事が確認に変わるんです。月3万〜4万円のクラウドで始められます。
いくらかかるか。月3万〜4万円から、初期費用0円
- 相手
FAXや紙の注文書を毎日、事務員が手入力する会社です。入力先は基幹システムやExcelです。卸・商社、食品や部材の製造、資材の販売ですね。社員6〜50人で、受注入力が事務員1〜2人に集中する所に効きます。
- 売り方と価格
道具は月3万〜4万円からです。PaperOnのLiteは月3万円(年額契約)です。SmartReadのスモールは年36万円です。月換算3万円です。DX SuiteのLiteは月4万円〜です。初期費用は3社とも0円です。
FAXの受信から、基幹システムへの流し込みまでが対象です。外に設計を頼む相場は、ここでは書きません。公式に公表されている値が見つかりませんでした。自社でやるなら、費用は道具の月額だけです。
- 必要なもの
いまの複合機で構いません。インターネットFAX(ネットで受信するFAX)でもよいです。受信画像をフォルダ(保存場所)かメールに落とせるものが必要です。AI-OCRのアカウント(利用者登録)も要ります。
得意先ごとの品番の対応表も用意します。読み取り結果を最初に目で見る担当は1人です。CSVは、表のデータを保存する形式のことです。基幹システムに取り込めるか、先に確認してください。
AIに任せられないのは、6工程のうち3つ
- 1FAXを受けて画像にする
- 2文字を読んで表にする
- 3品名を品番に当てる
- 4読み違いを直す
- 5基幹にCSVで流す
- 6在庫や特急の判断
- AIに任せる線
AIはFAXの画像を読みます。得意先名・品名・数量・納期を表にします。注文書の種類を仕分けるところまでは任せられます。
任せられないのは3つです。得意先の品名を、うちの品番に当てる照合の決まりを作ることです。数量や納期の読み違いを直すこともです。在庫不足や特急の時の判断も人が担います。ここは受注の中身を知っている人が担当してください。
- 詰まりそうな所
詰まるのは3つです。1つ目は、得意先の手書きが人によって読めないことです。精度99.2%でも、1枚10項目なら100枚で1,000項目です。計算上8か所は直しが出ます(大畑の試算)。
2つ目は、Web発注(ネットでの注文)に変えてもらえないことです。インフォマートの調査では、食品卸の47.4%が障壁を挙げていました。「取引先がWeb発注を嫌がる」という回答です。FAXを受けたまま読む方が現実的です。
3つ目は、「うちのFAXは特殊だから」という声です。そう言う社長ほど、実は書式が3種類くらいに収まったりします。
最初の30日
- 1〜7日直近1か月分から100枚を無料トライアルへ
- 8〜14日打った数字と並べて直しの数を数える
- 15〜30日品名と品番の対応表を作り基幹に入れる
精度99.6%と99.2%、受注に1日1時間以上が5割。公表されている数字
| 項目 | 値 | 誰の発表か・条件 | 扱い |
|---|---|---|---|
| DX Suiteの読取精度 | 99.6% | AI inside株式会社。公式サイトの表示値。「世界最高水準」として掲載。手書き単独の数値は非公表 | 公式公表 |
| SmartReadの認識率 | 99.2% | 株式会社Cogent Labs。公式サイトの表示値。当社評価データによる結果で、すべての文書での保証ではないと注記 | 公式公表 |
| FAX帳票の手書き読取精度 | 94.73% | NTT東日本(AIよみと~る)。2018年8〜9月に3社・20,275文字で実施したトライアルのうち、不動産会社のFAX申込書の手書き部分 | 公式公表 |
| AI-OCRの月額(最安プラン) | 3万〜4万円 | LINE WORKS・Cogent Labs・AI inside。PaperOn Lite 3万円(年額契約、月800回)、SmartRead スモール 年36万円(月換算3万円)、DX Suite Lite 4万円〜。初期費用はいずれも0円 | 公式公表 |
| 受注業務に1日1時間以上 | 5割以上 | 株式会社インフォマート。2023年8〜9月、自社プラットフォームを使う食品卸企業の従業員349人への調査。2時間以上は3割以上 | 第三者の調査 |
出典 2026年9月7日に、DX Suite(AI inside)の公式サイトと料金ページ、LINE WORKS PaperOnの製品ページ、SmartRead(Cogent Labs)の料金ページと製品ページ、NTT東日本のAIよみと~るの製品ページ、インフォマートの2023年の調査リリースを開いて確認した。PaperOnの読取精度は公式サイトに数値の記載がない。
- DX Suite公式トップdx-suite.com(確認 2026-09-07)
- DX Suite料金ページdx-suite.com(確認 2026-09-07)
- LINE WORKS PaperOn製品ページline-works.com(確認 2026-09-07)
- SmartRead料金ページwww.smartread.jp(確認 2026-09-07)
- SmartRead製品ページwww.smartread.jp(確認 2026-09-07)
- NTT東日本AIよみと~るbusiness.ntt-east.co.jp(確認 2026-09-07)
- インフォマート2023年調査corp.infomart.co.jp(確認 2026-09-07)
これを商売にするなら
買う側の得は、打ち込みの時間が消えることです。インフォマートの2023年の調査です。対象は食品卸の従業員349人でした。5割以上が受注業務に1日1時間以上かけていました。3割以上は2時間以上です。この時間が確認だけに縮みます。
売る側の得は、人の入力を置き換えられることです。原価は、読み取り1枚あたり数円から数十円です。項目抽出は、必要な情報を抜き出すことです。DX SuiteのLiteは1枚30円からです。SmartReadは1項目2円です。
差がつくのは、FAXの受信から基幹への流し込みまでの設計です。1本につなげられるかどうかです。道具は月数万円で誰でも買えます。この設計にかかる手間賃が商売になります。
向いている会社
- FAXや紙の注文書が毎日届き、事務員が手で打っている卸・商社、製造
- 得意先がWeb発注に切り替えてくれず、FAXを止められない会社
- 受注の入力が事務員1〜2人に集中していて、休まれると回らない会社
向かない会社
- 注文がほぼ電話か口頭で、紙もFAXも残らない会社
- 注文書が月に数枚で、打ち込みに困っていない会社
- 基幹システムがCSVの取り込みに対応していない会社
条件つきで、やる価値があると見ます。DX Suiteは99.6%、SmartReadは99.2%です。読む精度はもう足りています。詰まるのは精度ではなく、対応表の担当だけです。得意先の品名をうちの品番に当てる表ですね。
ここを決めれば、月3万円で始められます。朝の打ち込みが、確認の仕事に変わります。
自分の会社に当てはめると、どうなるか。
業種と人数を選んで、ひとつだけ答えてください。向き不向きと、その規模の会社での最初の30日が返ってきます。一度選んだ業種と人数は、次の記事でも覚えています。
例:卸・商社・6〜20人の会社で「はい」なら、向き度は高。理由が3行と、その規模での最初の30日が返ります。向かないときは、代わりに効く記事を1本すすめます。