日曜の倉庫、10人で棚の前に立って正の字を書いている
日曜日の倉庫を思い出してください。棚の前に10人が立ち、紙に正の字を書いています。年に1回か2回の棚卸しです。終わっても、まだ仕事は残ります。翌週、事務の人が紙を見てExcel(表計算の道具)に打ち直します。
数が合わなければ、棚へ戻って数え直します。この往復に半日消えることもあります。休日なので、人件費も上がります。法定休日(法律で定められた休日)の割増は35%以上です。10人が8時間、棚卸しをするとします。通常の80時間分に28時間分が上乗せです。
ここ数年で、数える道具が変わりました。専用のハンディ端末(手持ちの読み取り機)は買わずに済みます。手元のスマホで数えられます。写真を撮ると、AI(人工知能)が本数を数えるサービスも出ています。この記事は、棚卸しの数え方の話です。
数える道具が、専用端末からスマホとクラウドに移った
昔はバーコード(識別用のしま模様)を読む専用端末が要りました。ウェルコムデザインの公表価格だと、いまでも1台36,300円からです。5人で数えるなら5台です。RFIDは、電波で複数の札をまとめて読む仕組みのことです。リーダ(読み取り機)は、もっと高いです。同じ店の価格で1台156,200円からです。
いまは、iPhoneのカメラを使うサービスがあります。ハンディ端末の代わりに使う設計です。ロジクラがそれで、累計36,000社と公表しています。端末を1台も買わずに始められる形が出てきました。
もう1つは、写真から数を数えるAIです。日立産業制御ソリューションズのIVyCountがそうです。山積みで重なった資材でも精度98%と発表しています。ユアサ商事は、一束のカウント(数える作業)を例にしています。10〜15分が30秒になると書いています。
- 休日に総出で正の字を書く
- 翌週にExcelへ打ち直す
- 合わないと棚まで数え直し
- スマホで読めば台帳に入る
- 打ち直しが要らない
- 合わない棚だけその場で分かる
やると、こう変わる。紙の正の字が、その場で台帳になる
紙の正の字が、その場で台帳になります。スマホのカメラで読み取ります。数えた瞬間に、クラウド(ネット上の保管場所)へ入ります。翌週の打ち直しが要りません。数が合わない棚だけ、その場で分かります。
いくらかかるか。月8,980円から、AI画像認識つきは月49,800円
- 相手
在庫を現物で持ち、年に1回以上の棚卸しをする会社です。製造、卸・商社、建設資材、小売が対象です。社員6〜50人で、休日に総出で数えている所に効きます。
- 売り方と価格
在庫管理のクラウドは、どこも値段を出しています。zaicoはスターターが月8,980円(税込9,878円)です。AIの画像認識は、何が写っているかを当てる機能のことです。月49,800円のベーシック以上に付きます。ロジクラはLiteが年契約で月12,800円です。
在庫スイートクラウドの棚卸エディションは月2.9万円です。初期15万円もかかります。写真から数を数えるAIは、日本の3社とも月額を公表していません。日立産業制御ソリューションズ、ユアサ商事、SAYコンピュータです。いずれも個別の見積りです。資材や鋼材を数えるなら、見積りを取るところからです。
- 必要なもの
品番と棚の対応表と、数える人が必要です。スマホかタブレットも用意します。在庫にバーコードのラベルがなければ、まず貼ります。無料トライアル(お試し利用)は14日です。zaicoもロジクラも同じです。在庫スイートクラウドには無料トライアルの記載がありません。
AIに任せられるのは、6工程のうち2つ
- 1棚と品番を決める
- 2ラベルを貼る
- 3スマホで読み取る
- 4写真から数える
- 5差異の原因を探す
- 6置き場を直す
- AIに任せる線
AIに任せられるのは、6工程のうち2つです。写真から本数を数え、読み取った数をクラウドへ入れます。任せられないのは4つです。棚と品番の対応を決めることと、数が合わないときの原因探しです。傷んだ在庫や返品の判断、数える順番の段取りも残ります。数が合わない理由は、たいてい数え間違いではありません。
- 詰まりそうな所
詰まるのは3つです。1つ目は、値段の段差です。zaicoは月8,980円で始められます。AIの画像認識が使えるのは、月49,800円のプランからです。この差を最初に見てください。
2つ目は、写真で数えるAIの値段が分からないことです。日本の3社とも非公表です。見積りを取るまで判断できません。3つ目は、棚が整っていないことです。同じ品番が3か所に散っていると、道具を入れても合いません。先に置き場を決める方が効きます。
最初の30日
- 1〜7日去年の棚卸しの人数と時間を出す
- 8〜14日在庫の多い棚を1つ選んで試す
- 15〜30日差異の出た棚の置き場を直す
精度98%、カウント30秒、16人で6時間半。公表されている数字
| 項目 | 値 | 誰の発表か・条件 | 扱い |
|---|---|---|---|
| 在庫管理クラウドの月額 | 8,980円〜 | 株式会社ZAICO(zaico)。公式の料金ページ。税込9,878円、フルユーザー3名+閲覧10名、初期費用なし、無料トライアル14日。AI画像認識が付くベーシックは月49,800円(確認 2026-09-11) | 公式公表 |
| 画像で数えるAIの精度 | 98% | 日立産業制御ソリューションズ(IVyCount)。2023年5月29日の発表。複数フレームの解析とLiDARの3D点群を統合。山積みで重なった資材でも数えられるとの記載。料金は非公表(確認 2023-05-29) | 公式公表 |
| 仮設資材のカウント時間 | 10〜15分が30秒 | ユアサ商事。公式ページの記載。一束あたり。精度の数値と料金の記載はなし。顧客固有の資材の追加学習は別途費用(確認 2026-09-11) | 公式公表 |
| 1回の棚卸しの重さ | 16人で約6時間半 | 株式会社スマートショッピング。2024年12月17日の発表。ENEOS NUCの月1回の棚卸しの事例。ベンダーが自社の導入事例として公表した数字(確認 2024-12-17) | 公式公表 |
| 休日出勤の割増賃金 | 35%以上 | 厚生労働省(兵庫労働局)。法定休日の割増率。時間外は25%以上、深夜も25%以上、休日と深夜が重なると60%以上。月60時間超の時間外50%は2023年4月から中小企業にも適用(確認 2026-09-11) | 公式公表 |
出典 2026年9月11日に、zaicoの料金ページと2026年5月26日のプレスリリース、ロジクラの料金ページとトップ、在庫スイートクラウドの料金ページ、日立産業制御ソリューションズのIVyCountの製品ページと2023年5月29日の発表、ユアサ商事の仮設資材AIカウントシステムのページ、SAYコンピュータのEye-Count AIのページ、ウェルコムデザインの公式オンラインショップのハンディターミナルとRFIDリーダの価格一覧、スマートショッピングの2024年12月17日と2025年3月27日の発表、兵庫労働局の割増賃金のページを開いて確認した。写真から数を数えるAIは、日立産業制御ソリューションズ・ユアサ商事・SAYコンピュータの3社とも月額を公表していないので書かない。比較サイトにある各社の月額や、RFIDタグ1枚1円という値は、元の公式ページで確認できなかったので採らなかった。
- zaicoの料金ページwww.zaico.co.jp(確認 2026-09-11)
- 2026年5月26日のプレスリリースcorporate.zaico.co.jp(確認 2026-09-11)
- ロジクラの料金ページlogikura.jp(確認 2026-09-11)
- 在庫スイートクラウドの料金ページinfusion.co.jp(確認 2026-09-11)
- 日立産業制御ソリューションズの2023年5月29日の発表info.hitachi-ics.co.jp(確認 2026-09-11)
- ユアサ商事の仮設資材AIカウントシステムwww.yuasa.co.jp(確認 2026-09-11)
- ウェルコムデザイン公式オンラインショップshop.e-welcom.com(確認 2026-09-11)
- スマートショッピングの2024年12月17日の発表prtimes.jp(確認 2026-09-11)
これを商売にするなら
買う側の得は、休日出勤が減ることです。10人が8時間、休日に棚卸しをするとします。割増35%を足すと、通常賃金の108時間分です。半分になれば、1回で50時間分が浮きます。年2回なら100時間分です。
売る側の得は、月額で続くことです。在庫スイートクラウドの棚卸エディションを見ます。月2.9万円に初期15万円です。年1回の棚卸しに、年間34万8,000円を払う計算です。年に1回なら、高いか安いかは自社の人件費で決まります。
差がつくのは、棚と品番の対応です。道具はどこも似ています。誰がどの棚に何を置くかを決め、守ってもらいます。ここが残る仕事です。
向いている会社
- 在庫を現物で持ち、年に1回以上の棚卸しを休日にやっている会社
- 数えた紙を、翌週にExcelへ打ち直している会社
- 棚卸しのたびに数が合わず、数え直しが出る会社
向かない会社
- 在庫をほとんど持たず、仕入れたその日に出ていく会社
- 同じ品番が何か所にも散っていて、置き場が決まっていない会社
- 棚卸しが年1回で、1時間で終わる会社
条件つきでやる価値あり、と見ます。スマホで数え、その場で台帳に入る形はもう普通に買えます。問題は道具でなく、同じ品番が3か所に散った棚です。先に置き場を決めてください。写真から数えるAIは、日本の3社とも値段を出していません。資材や鋼材が対象なら、見積りを取ってから考える話です。
自分の会社に当てはめると、どうなるか。
業種と人数を選んで、ひとつだけ答えてください。向き不向きと、その規模の会社での最初の30日が返ってきます。一度選んだ業種と人数は、次の記事でも覚えています。
例:製造・6〜20人の会社で「はい」なら、向き度は高。理由が3行と、その規模での最初の30日が返ります。向かないときは、代わりに効く記事を1本すすめます。