経理の席の前に立って、経費の締切を聞いている社員がいる
総務の人の席に、社員が立っています。聞いているのは、経費の締切です。先月も同じ質問が来ました。就業規則のどこに書いてありますか。この申請書はどこに出しますか。あの機械はどうやって止めますか。
答えは社内のどこかの文書に書いてあります。ただ、探すより聞いた方が早いです。だから、みんな聞きます。LayerXが2026年2月に調べています。総務や経理などで質問に答える担当者200人が対象です。
月の件数は平均27.1件でした。対応時間は平均10時間でした。1件あたり22分かかっている計算です。負担と感じる人は62.0%でした。それでも、チャットボット(自動で答える道具)などを使う人は22.0%でした。この記事は、その差の話です。
社内の文書をそのまま読ませて答えさせる形が出てきた
前からチャットボットはありました。ただ、質問と答えを1つずつ登録する形でした。50個そろえるだけで半日かかります。作った後も、規則が変わるたびに直します。いまは、社内の文書をそのまま読ませる形が出ています。
RICOH Chatbot Serviceにもあります。社内ナレッジ版(社内の知識を使う版)がそれです。PDF(文書を保存する形式)を入れるだけです。Word(文書作成の道具)も使えます。Excel(表計算の道具)も使えます。
Q&A集(質問と答えの一覧)を事前に作る必要はない、と公式に書いてあります。答えには、参考にした文書のリンク(文書を開く入口)が付きます。正しいかどうかを人が確かめられます。事実に基づかない回答を防ぐ仕組みも入れている、と公式ページにあります。
値段の形は2つに分かれます。ChatSenseは1ユーザー(利用者)月980円からです。RICOHは人数課金(人数に応じた料金)がありません。月18,000円からです。社員数によって、安い側が入れ替わります。
- 答えは文書にあるが探せない
- 聞いた方が早いので聞く
- 担当1人に質問が集まる
- 文書を読ませておけば答える
- 参照元のリンクが出る
- 人は外れた答えを直すだけ
やると、こう変わる。聞かれる仕事が、文書を直す仕事に
聞かれる仕事が、文書を直す仕事に変わります。社内の文書を読ませておけば、AI(人工知能)が答えます。総務の人は、答えが外れた所の文書を直します。月10時間が、その作業に置き換わります。
いくらかかるか。1人月980円か、人数無関係の月18,000円
- 相手
総務や経理に同じ質問が繰り返し来ている会社です。社員21人以上の所です。答える担当が1人か2人に集中しています。人の出入りがある会社ほど効きます。
- 売り方と価格
1人あたりで払う形と、人数に関係なく払う形があります。ChatSenseのビジネスは1ユーザー月980円からです。初期費用0円で、最低利用期間もありません。無料のスターター(入門用の契約)は月30回までです。
RICOH Chatbot Serviceは初期費用5,000円です。月18,000円から使えます。社内ナレッジ版は月3,000回・5GB(容量の単位)です。ユーザー課金がありません。1か月の無償お試しが付きます。
海外の道具を社内用に契約する手もあります。Claudeのチームもあります。1シート(利用者ごとの契約枠)月20ドル(年払い)です。Microsoft 365 Copilot Businessも選べます。月2,698円(年間の販促価格)です。
Google WorkspaceのStarterは月800円です。ただし、社内文書を読ませる仕組みまで含むかは、各社で違います。値段だけ横に並べないでください。
- 必要なもの
就業規則や経費の手順を用意します。申請書の出し方や、機械の操作手順も必要です。文書の形は問いません。答えが外れた所を直す担当も1人、決めます。入れる前に、設定を確認してください。学習(AIの性能を高める訓練)に使われない設定かどうかです。
AIに任せられるのは、6工程のうち3つ
- 1質問を書き出す
- 2文書をそろえる
- 3文書から探す
- 4よくある質問に答える
- 5履歴を要約する
- 6外れた答えを直す
- AIに任せる線
AIに任せられるのは、6工程のうち3つです。文書からの検索と、よくある質問への回答です。回答の履歴の要約も任せられます。
任せられないのは3つです。答えが正しいかの最終確認です。規則そのものを変える判断も、人が担います。個別の事情がからむ相談も同じです。個人情報保護委員会の2023年6月2日の注意喚起です。応答結果に不正確な内容が含まれることがある、と書いています。
- 詰まりそうな所
詰まるのは3つです。1つ目は、文書が無いことです。頭の中にしかない手順は読ませられません。
2つ目は、個人情報です。本人の同意なく個人データを入れたとします。それが応答以外の目的で扱われた場合です。個人情報保護委員会は、法に触れる可能性がある、としています。学習に使わないことを十分に確認せよ、とも書いています。従業員の個別事情は入れないでください。
3つ目は、間違いの扱いです。答えが違ったとき、誰がどう直すかを先に決めます。参照元のリンクが出る仕組みなら、人が確かめられます。
最初の30日
- 1〜7日来た質問を1か月ぶん書き出す
- 8〜14日上位10種類の答えの文書を探す
- 15〜30日無償お試しで読ませ外れを数える
月27.1件で10時間、負担と感じる62.0%、道具は22.0%
| 項目 | 値 | 誰の発表か・条件 | 扱い |
|---|---|---|---|
| 社内問い合わせの件数 | 月平均27.1件 | 株式会社LayerX。2026年2月6〜10日の調査。総務・人事労務・経理財務・法務・情報システムで質問に対応する担当者200名。ベンダーが実施した調査(確認 2026-03-25) | 第三者の調査 |
| 対応にかかる時間 | 月平均10時間 | 株式会社LayerX。同じ調査。最頻値は5〜10時間未満で31.0%。件数と合わせると1件あたりおよそ22分の計算になる(確認 2026-03-25) | 第三者の調査 |
| 負担と感じる担当者 | 62.0% | 株式会社LayerX。同じ調査。一方で、チャットボットなど自動化の道具を使っているのは22.0%(確認 2026-03-25) | 第三者の調査 |
| 人数課金なしの月額 | 18,000円 | リコージャパン。公式の料金ページ(税抜)。初期費用5,000円、STARTERは登録できるQ&Aが50個。社内ナレッジ版は月3,000回・5GB・ユーザー課金なし・1か月の無償お試し(確認 2026-09-11) | 公式公表 |
| 1人あたりの月額 | 980円〜 | 株式会社ナレッジセンス(ChatSense)。公式の料金ページ。ビジネスプラン、初期費用0円、最低利用期間なし。無料のスターターは月30回まで。社内データを読ませる機能はビジネス以上(確認 2026-09-11) | 公式公表 |
出典 2026年9月11日に、LayerXが2026年3月25日に発表した社内問い合わせの調査、キヤノンマーケティングジャパンが2024年10月25日に発表したヘルプデスクの調査、ChatSenseの公式サイト、RICOH Chatbot Serviceの料金ページと社内ナレッジ版のページ、Claudeの料金ページ、Microsoft 365 Copilotの日本語料金ページ、Google Workspaceの日本語料金ページ、個人情報保護委員会が2023年6月2日に出した生成AIサービスの利用に関する注意喚起を開いて確認した。ChatGPTの法人プランの単価は、公式ページが開けず確認できなかったので書かない。比較サイトにある各社の月額も採らなかった。キヤノンマーケティングジャパンの調査は従業員300〜1,000名が対象で、この記事の読者より大きい会社の数字だった。
- LayerXが2026年3月25日に発表した調査prtimes.jp(確認 2026-09-11)
- ChatSenseの公式サイトchatsense.jp(確認 2026-09-11)
- RICOH Chatbot Serviceの料金ページpromo.digital.ricoh.com(確認 2026-09-11)
- 社内ナレッジ版のページpromo.digital.ricoh.com(確認 2026-09-11)
- 個人情報保護委員会の2023年6月2日の注意喚起www.ppc.go.jp(確認 2026-09-11)
- Microsoft 365 Copilotの日本語料金ページwww.microsoft.com(確認 2026-09-11)
これを商売にするなら
買う側の得は、月10時間です。総務の人の時給が2,000円なら、月20,000円です。年に24万円になります。RICOHの月18,000円なら、10時間ぶんでほぼ釣り合います。
1人980円のChatSenseなら、20人で月19,600円です。50人だと月49,000円です。RICOHは人数が増えても月18,000円のままです。人数が多いほど、人数課金なしが効きます。
売る側の得は、文書が集まるほど外せなくなることです。社内の規則も手順も、そこに集まります。外すと、また聞いて回る状態に戻ります。差がつくのは、文書がそろっているかどうかです。就業規則も手順書も無い会社には、読ませるものがありません。道具を入れる前に、書くところからです。
向いている会社
- 総務や経理に同じ質問が繰り返し来ている会社
- 就業規則や手順書が、文書としてすでにそろっている会社
- 人の出入りがあり、新しい人が毎回同じことを聞く会社
向かない会社
- 手順が頭の中にしかなく、文書が1枚も無い会社
- 社員が5人以下で、聞かれてもその場で答えられる会社
- 質問が毎回違い、個別の事情がからむ相談が中心の会社
条件つきで、やる価値があると見ます。月10時間が月18,000円の道具と釣り合うなら、数字は合います。ただし読ませる文書が無ければ動きません。詰まるのは道具ではありません。手順が頭の中にしかない状態です。
もう1つあります。入れる前に、学習に使われない設定かどうかを確認してください。国が言っているのは「使うな」ではありません。「確認してから入れろ」です。
自分の会社に当てはめると、どうなるか。
業種と人数を選んで、ひとつだけ答えてください。向き不向きと、その規模の会社での最初の30日が返ってきます。一度選んだ業種と人数は、次の記事でも覚えています。
例:製造・21〜50人の会社で「はい」なら、向き度は高。理由が3行と、その規模での最初の30日が返ります。向かないときは、代わりに効く記事を1本すすめます。